高齢者は若い人と違い、運動能力や記憶力、認知機能や筋力などが低下しているという特徴があります。そして心疾患や糖尿病、腎臓疾患など何らかの慢性疾患を抱えている人が多くなります。
高齢者看護においては、脳卒中や肺炎などの急性疾患はすぐに治療しますが、慢性疾患の場合は治癒や身体機能のアップを目標とするのではなく、慢性疾患との共存や急性疾患の予防、身体機能の維持などを目指します。つまり、高齢者のQOLを重視した看護が必要であり、転倒リスクや低栄養を防ぐ、本人ができることを奪わないなどの工夫が大切です。
高齢者は一人ひとり身体能力や記憶力等に違いがあるります。そのため、まずその人が何ができるのか、何ができないのかを十分に見極めなければなりません。
そして高齢者が自分でできることは、自分でやってもらうことが非常に重要です。
たとえば靴を履くのに時間がかかった際、看護師が手伝えばすぐに靴を履くことができます。しかしそれを続けていくと、本人は徐々に自分で靴を履くことができなくなります。このような場合手伝うのではなく、時間がかかっても本人にやってもらうことが大切です。そしてできたら褒めることで、高齢者の自信ややる気につながります。
また、トイレに行く時など、高齢者に転倒リスクがある場合は常に見守るといった配慮が必要です。食事量が減っている場合は、声かけをして一口でも多く食べてもらう、嗜好をよく聞く、水分摂取を十分にするなど、個々人に合わせたケアが大切になります。
このように一人ひとりの高齢者に寄り添う看護ができれば高齢者の思いや価値観を理解でき、高齢者の精神面の向上にも役立つことでしょう。